九州広域危機対応・救護連携研究会

■第7回研修会より

令和8年3月15日

令和8年3月14日(日曜日)に八女筑後訪問看護ステーション2階会議室にて第7回研修会を開催しました。令和7年度最後の研修会となり久留米、八女、大川、大牟田等よりお越し頂き、ありがとうございました。当日のご参加も含めて28名集っての研修会となりました。今回は、ケアマネージャー、地域包括支援センター、保健所、看護学科教員、介護事業所、基幹病院看護師、訪問看護師といった様々なご所属からお集まり頂き災害支援への関心の高さを実感しました。

初めに、大分県日田市 医療法人秋水堂 地域密着型有料老人ホーム蹈青 副施設長 堀下幸雄先生より「熊本地震の際のDMAT・JMATでの活動 災害時の備えとしてのBCPについて」お話頂きました。堀下先生は、2016年熊本地震ではDMAT隊員として活動し、その後もJMAT隊員として活動されたご経験など、これまでの災害支援や、BCPやマニュアル、備蓄など平時の備えの重要性、南海トラフ地震発災時に想定される事など貴重なお話を伺いました。まず平時は、活動地域での避難所を把握しておくこと。災害は突然起こり皆慌てる状況になるので、BCPやマニュアルを整備し対策を事前に準備しておくこと。日本は世界第四位の地震大国であり、南海トラフ地震が起きた場合は死者数最大29万人といった、これまで以上に甚大な被害と各地への様々な影響が懸念される事。平時の暮らしでは、災害への意識が薄くなりがちですが、堀下先生のお話を伺って、日常生活用品や食品などの備蓄や、職場では災害マニュアルなどの共有や日頃の訓練など、常に災害を意識し考え備えることを学びました。

続いて、特定非営利活動法人YNF代表理事 江﨑太郎先生より「イタリアの被災者支援と能登半島地震における活動」についてお話頂きました。これまで当研究会では、本邦の災害支援について学んできましたが、今回初めて海外の支援体制について学ぶ機会となりました。イタリアでの被災者支援は、本邦とは大きく異なりボランティアの地位が確立されています。通常仕事がある人が災害支援ボランティア活動を行う場合には、仕事を休んでも会社は給与を支払います。会社は国からの賃金に相当する金額が入る仕組みがあります。ボランティア活動を行うことが社会的に周知されており、支援体制の1つとして大きな役割を果たしています。地震の時に避難所が開設されると、1人1人にテントとベットが準備され、食事の際には、寝食は別の場所として食堂があり、そこではコックさんが作った暖かい食事とワインが提供されるようです。そして倒壊しそうな家屋に住み続ける方は、強制的に避難させ避難所で過ごす事となります。二次被害を避け命を守る権限があります。被災した方々には、自宅ではなくとも快適に過せる配慮があります。 能登半島地震におけるYNFの活動では、被災した珠洲市など地域の方々と連携し一世帯、一世帯に個別訪問し、困りごとなどを聞き必要な支援に繋ぎ、継続的なサポートを行っているという事です。どこに誰がいるか分からないが、経験的に必ず困っている方がいるという確信があるから個別訪問が必要で支援に繋げるという支援のあり方に、大変感銘を受ける内容でした。

今回の研修会は、これからの災害支援の人材育成の必要性を感じ、海外のあり方なども学ぶ機会となりました。次回第8回研修会は、令和8年6月久留米にて開催予定ですが、「命をつなぐ技術をみにつける~災害トリアージや搬送方法などの演習」といった内容で、実践の技術を学んでいきたいと思います。案内が完成しましたらホームページに掲載致します。当研究会での研修会が、災害に備えた平時の関係性作りになればと思います。当研究会の趣旨にご賛同頂き会員数も増えてきました。引き続き宜しくお願い致します。

■第6回研修会より

令和8年3月15日

令和7年11月22日(土曜日)に八女筑後訪問看護ステーション2階会議室にて第6回研修会を開催しました。参加者は、23人(病院看護師、訪問看護、看護大学教員、学生、社会福祉協議会、歯科衛生士、薬剤師、介護支援専門員)、事務局4人、講師2名で会場がいっぱいになりました。感染予防に適宜、換気を行いながらの研修会でした。

 今回は、久留米大学病院高度救命救急センター副センター長山下典雄先生より「災害とこれからのDMAT」というテーマでお話いただきました。前回は災害時の救急体制のお話で今回は、支援と受援の関係、受援者の準備、心構えについて、また筑後地域は水害が多いが、地震は少なく、他地域からの避難者を受け入れるという役割があるとのことで、受け入れ態勢、場所などの構築はどうしたらいいのか、考えさせられました。最後に、非難や搬送は限界がある、籠城できる体制、備蓄が勝負!生き延びるためには備蓄能力の向上が必要との事でした。

 次に「災害時における口腔ケア」について日野歯科医院の副院長、錦織拓馬歯科医からご講演いただきました。災害関連誌でもっとも多いのは肺炎、避難所生活や水不足で口腔清潔が保てないことで、口のトラブルや呼吸器感染症のリスク増加特に誤嚥性肺炎に至りやすいとの事です。非難持ち出しバッグの中に歯ブラシ、液体歯磨き、口腔ケア用ウエットシート、入れ歯ケース、洗浄剤なども入れておくなど教えて頂きました。また、問題が起きると普段通りに戻すには非常に大変な機関と治療が必要になるので、定期的に、問題が起きないように歯科受診してもらうことが大事と平時の心構えも学ぶことができました。

質疑応答でも、もっと教えていただきたい多いことがあったと思いますが、時間の都合でかなわない方もおられ、残って質問されている姿も見られました。 今後も地域の災害対応の知識、対応方法などの研修を継続していきたいと思います。

■第5回研修会より

令和7年6月15日

 令和7年6月15日(日曜日)に久留米医師会館にて第5回研修会を行いました。梅雨時期の曇り空であいにくの天気の中、遠方からのご参加が多く、26名の方々にお集まり頂きました。今回の研修会では、福岡県防災士ネットワーク副代表の防災士 吉武章先生より「災害と看護」についてお話頂きました。吉武先生は、これまで全国各地の災害時に被災者支援、ボランティア活動をされておられます。
これまで多くの支援活動の経験から語られる被災地の過酷な状況や、避難生活の困難さ、避難所運営の課題、トイレの問題、災害関連死について等々、医療や看護の領域を超えた幅広い内容でご講話頂きました。

 2021年新潟県での豪雨災害で、自主防災の取り組みが高い地区では、民生委員や消防団など地域の方々が自分たちで話し合い、市町村の避難指示が発令される前に自主避難をされて無事であったとの事でした。毎回、研修会ではこのようなケースが紹介されますが、災害から命を守るには、隣近所の地域住民が常日頃から防災へ取り組む事が肝ではないかと痛感致します。
 私たちはいつ災害に遭遇し帰宅困難になったり、自宅が損壊し避難生活になるかもしれません。吉武先生はいつでも被災地へ動く備えとして、自分の命を守るために必要な持ち物(食料、水、コンロ、寝袋など)は車中に準備し、身分証明、ホイッスル、非常用アルミシートなどは肌身外さず携帯しているとの事です。毎日の生活が、命を守る行動や支援への備えであり防災そのものです。日頃から防災意識を高く、しっかり備える事や支援者のあり方やノウハウを沢山学びました。

 続いて、久留米大学法学部教授 松田光司先生より「災害における協働とケースマネジメント」についてお話頂きました。松田先生は、大学教授としてご活躍であり、また多数の団体に所属され、災害支援ふくおか広域ネットワーク(Fネット)副会長や、くるめ災害支援ネット「ハッシュ」会長等努めておられます。松田先生は多数の団体に所属し、ネットワークにおける兼任者として橋渡し役を担っておられます。福岡県広域や久留米市や地区レベルといったネットワークで相互に連携し、支援のムラがなく、取りこぼさない活動への取り組みです。令和4年の豪雨災害では、家屋被災者支援として久留米市社会福祉協議会、ハッシュ、うきは市、朝倉市、八女市のボランティア団体と一緒に合同で対応されたとのことです。

 平常時の繋がりとして、校区向けの研修会を行い自治会長や被災の可能性がある住民と直接繋がります。いざ災害が発生した時に、顔の見える関係なので自治会長と一緒にニーズ調査や現地調査(畳、床板剥がし)が迅速にでき、その後の復旧活動も少しでも早く家が傷まないように対応されました。
 災害の備えとして事前復興とは、災害発生時を想定した情報収集、伝達の仕組み、地域の災害ゴミや土砂置き場の取り決め、関係者の駐車場や休憩場所の取り決め、復興資材の貸し借りの仕組み等、地域で事前に話し合うことが速やかな生活再建への仕組みです。

 最後に災害ケースマネジメントワークショップとして2ケースをグループワークで話し合いました。ワークショップの進め方は、協働ができる過程を学ぶためにグループ分けはあえてせずに、1人で考えてもいい(個別最適化の学び)、話したい人の元に行き意見交換してもいい、というワークでした。近くの方と4人で話し合う場や7人ほどで話し合う場など様々なグループワークとなり盛り上がりました。

 このように職種や住んでいる地域が違う方々と話し合う事は、参加者同士で顔の見える関係を築く手がかりとなります。

 両先生方とご参加頂いた皆様、お疲れ様でした。ありがとうございました。次回の研修会は11月開催予定で準備中ですが、今回と同様にグループワークも検討しています。研修会が災害に備えた平時の関係性作りになればと思います。少しづつですが、当研究会の趣旨にご賛同頂き会員数も増えてきました。引き続き、一緒に学び共に支援できる仲間を募っております。宜しくお願い致します。

■第4回研修会より

令和7年3月15日

第4回目の研修会を久留米市宮ノ陣のビジネスプラザで開催しました。あいにくの雨天にも関わらず28名の方にご参加頂きました。誠にありがとうございました。

今回の研修会では、NPO法人緩和ケア支援センターコミュニティ理事長の平野頼子さんより『阪神淡路大震災~看護師として学んだこと』についてご講話頂きました。平野さんは阪神淡路大震災、東日本大震災、北部九州豪雨災害等、数々の被災地で支援活動をされてこられました。これまでのご経験から被災地支援には看護の力が必要であること、まず現地へ行き活動する事、災害支援には日頃からの人と人の繋がりや連携が大切であること等、教えて頂きました。

次に訪問看護ステーションはな 訪問看護師の谷口亜也子さんより『能登半島地震被災者支援の実際』についてお話頂きました。谷口さんは、能登半島被災者支援に3期に渡り活動をされて支援期間中にご自身も大雨災害に遭遇されました。グループホームでの暖かな看護支援、具体的な内容、そして、能登半島被災地は現在まだなお災害復旧途中であり、被災地支援を継続していく事の難しさ等に触れて、貴重なご経験を共有させて頂きました。

最後に国際医療福祉大学 福岡保健医療学部教授の三橋睦子先生より『発災時の感染対策』として災害時に水洗トイレが使えなくなった場合、排尿や排便が当たり前にできないことの弊害についてご講話頂きました。演習では、参加者全員が感染対策としてビニールエプロンとゴム手袋、マスクを装着し、感染物とみなした粉に触れ、最後にビニールエプロンとゴム手袋を外しました。ゴム手袋を装着していたので、きれいなはずの手指ですが、ブラックライトを当てると身体のあちこちが光っています。手指だけではなく背中なども光っています。ゴム手袋にはピンホールがあったり、汗で雑菌が繁殖したりします。ゴム手袋をつけていれば清潔と過信せずに、感染対策として基本の手洗いや手指消毒がいかに重要であるか改めて再認識しました。

研修会には看護師、保健師、介護士、医師、社会福祉協議会職員、ケアマネージャー、調剤薬局、防災士、教師等、様々な職種の方がご参加され入会頂いております。研修会を通して地域支援が繋がり顔の見える関係作りができればと願っています。

次回はグループワーク等を組み込んだ内容で6月15日(日曜日)に久留米医師会館での開催を準備しております。

■第3回研修会より

令和6年11月17日

第3回研修会を八女市岩戸山歴史文化交流館にて開催しました。研修会に先立ち、今なお能登半島地震被災地支援が続く中、福岡市のNPO法人緩和ケア支援センターコミュニティ代表の平野頼子氏より現状のご報告と支援のご協力についてお話を頂きました。研修会終了後に、ご参加の皆様より合計44,100円の寄付金を頂き厚く御礼申し上げます。

久留米大学病院 災害・危機管理担当 教授 高度救命救急センターの山下典雄先生より「災害時の医療者としてみた支援と受援」についてご登壇頂きました。災害医療の基本的な考え、初動期の考え、DMATについて等、実際の災害支援活動と合わせて大変幅広い内容で分かりやすくご講話頂きました。

また、国際医療福祉大学 福岡保健医療学部教授 三橋睦子先生より「地球沸騰時代(WHO)の大規模災害にそなえる 支援者を支援する」と題し、発災後の問題となる感染症について、災害時に水が出ない場合、トイレが使えない時に関する問題についてご講話頂きました。

最後に(株)九州ホームケアサービスの飯田和行氏より自動ラップポータブルトイレらくゾウくんの使用方法等のご説明を頂きました。発災時のトイレ問題は、平時の備えが不可欠であると実感し、大変学びの多い研修会となりました。

引き続き、来年度も研修会を開催致しますので、多くの方にご参加頂き、災害時の医療や支援、備え等について一緒に学んでいきたいと思います。また、本研究会にご入会頂き発災時に活動できる仲間を募っています。発災時の備えは、同じ地域に暮らす支援者のネットワークが必要であり急務の課題です。私たちは、九州広域に助け合いの支援者ネットワークを広げていきたいと思います。

■第1回研修会より

令和6年3月9日

九州広域危機対応・救護連携研究会、第1回は久留米市社会福祉協議会の方から「2023年 久留米大雨災害 報告」、本研究会の三橋より「災害支援のこれから・研究会について」の報告や課題について話し合いました。

また、「能登半島地震支援 報告」の報告や災害現場の状況報告などをスライドを交え、確認していきました。